接道してますか? 不動産調査のできない不動産業者・・・(結構多い)

接道してますか? 不動産調査のできない不動産業者・・・(結構多い)賃貸営業マンの知人が不動産売買の重要事項説明書を見て欲しいという事で相談。

普段は賃貸客付しかしておらず、売買は不慣れ。

そこの会社の社長や他の社員も売買の知識が無く、社長は宅地建物取引士の資格も持っていないので、社内に聞く人がいない。

 

とりあえず資料を持ってきてもらって色々話を聞いて資料の確認。

今日が金曜日で来週の火曜日の午前中には契約と同時に決済との事・・・。

しかも月曜日は祝日で役所調査等のリミットが本日いっぱい。

色々調査してない事ある感じで恐ろしいなぁ~💦と思いつつ。

ざっくり登記情報と重要事項説明書を確認した上でいくつかアドバイス。

 

収益物件の売買なので、家賃精算や賃貸契約書原本で賃貸状況(返還債務等)の確認や保証会社・管理会社の絡みでも手続きや精算等必要だという事等も伝え、特約に絶対入れておくべき事等もいくつか話。

で、一番の問題点になりそうな部分も確認してみると全く分かっていないので役所調査まで付き合って欲しいという事でタダ働き(-_-;)

その一番の問題点というのが接道の問題。

 

重要事項説明書を見ると二方向に接道された角地である様な記載。

公図を見ると片方の道側に細い筆が一筆入っている。

これ何?と聞くと、水路が入っているというので再度公図を見ても水路ではなく地番が入っている。(水路が途中から細い番号付きの筆に変わっている状態。)

ここの筆番の登記は?と聞くと一応謄本をあげていたので確認すると、【所有者は建設省・地目は宅地】。

ん?宅地??と思いつつ。

現地写真は?と確認すると250㎜程の側溝の上に鉄板が敷いてあり、水路という程の幅でもなく、現況では普通に接道しているという感じ。

これ役所でちゃんと接道してるか確認した方が良いですよというと、道路台帳は役所でとってきており『42条1項1号道路で路線名のある市道でしたよ!』という事。

『建設省が所有しているんやなぁっていうだけで何がおかしいんですか??接道してますよね??』

いや、ちょっとおかしいから確認した方が良いですよ、恐らく問題ないとは思いますが、これを問題ある可能性があると感じないのは問題ですよと。

で、役所調査。

 

『ここの道路は建築基準法上の道路の何にあたりますか?』ととりあえず質問。

現在は42条1項1号で元は位置指定道路ですとの事。

えっ?位置指定道路?所有者調べてます?と横に聞くと調べていない様子。

位置指定道路台帳下さいというと横では何の事か分かっていない。

断面図みてみると道路側溝が位置指定道路に含まれていない・・・。

 

公図と登記情報を見せながら『こういう細い筆番が入ってるんですが、どこまでが建築基準法上の道路で、こちら側の道は接道とみなせますか?』

と質問してやっと『管理している範囲がどうかで異なるので、違う課で確認してもらって、同じ道に面する土地の建物の建築計画概要書を取ってどういう判断になっているのかも確認してみて下さい。』

 

違う課で、沿道沿いの建築計画概要書を取って見ると、道路境界と公共用地境界の2本の線があり、接道とみなしていない様子・・・。(全て他に接道があるので建築できている状況。)

 

という事で、結果この日の調査の段階で言える事は【この細い筆番の部分は建築基準法上の道路に含まれない】という事実。

もちろん、建設省所有の細い筆番を利用できる様な許可等をもらって建築物の敷地設定で含めてしまえば問題なく接道となるのですが、とりあえず建築基準法上の接道ではないですねという事。

 

片方の接道があるので同じ建物を再建築するのは問題ないと思いますが、取り引きの土地面積が大きいし、買主が建設業者という事なので、宅割りして建売とかも考えてるんじゃないですか?

その場合、こっち側は無接道になるし、掘削同意等とるにしても建設省の同意がいるという説明等もいるからもっと調査した方が良いですよとアドバイス。

建設省ってもう無いよな・・・って事もあるしどこに調査にいくのかって事からの調査ですね。

 

と、この時点で17時は回っているのでタイムオーバー・・・。(これで4日後に契約同時決済するんか💦)

帰り道すがら色々お話していると売主様は入院していて本人に会っていないという・・・。

しかも当日は委任状だけで不参加という事。

売却意思確認やら本人確認やらした方が良いですし、そもそも司法書士の売主確認もいりますよという事まで言わないといけないレベル(-_-;)

認知入ってたらどないすんねん。売主に売却意思なかったらどないすんねん。

 

そこでふと気になる・・・。

売主の住所と登記名義人住所の確認もあるし決済にいるし、住民票は確認しました?と聞くと・・・。

『えっ・・・いるんですか?』

『はい、当然・・・。印鑑証明は?』

『えっ・・・』

もう市役所閉まってますね・・・チ~ン。

 

売主様・買主様共に、マイナンバーカードか住民基本台帳カードを発行しているという奇跡を願いつつ・・・。

延期した方が良いんじゃないですか?(;’∀’)

売り・買い両手でこれですからね・・・。

売買仲介やっちゃいけないレベルです。

不動産買う時は調査能力のある業者に調査してもらわないとどえらい事になる可能性がありますよというお話でした~。

ホンマどないすんのやろ(;´Д`)

 

追記

契約日は延期して後日になったそうです。

役所調査も教えてもらった事が無く、何を聞いたら良いのかかが分からないし、何を分かっていないのかも分からないという事で、コレって本当にこの業界の問題点でこのレベルがスタンダードだったりするのです(-_-;)

不動産においてかなり重要な接道要件の調査もできない様な業者がゴロゴロいる様な気がします。

僕自身は以前在籍していた会社で買主側として建築目線・開発業者目線での宅地開発の購入前土地の事前調査等を経験してきたという背景があるのである程度問題なくできるのだと思うのですが、ただの中古売買・賃貸のみを経験している方では再建築目線での調査というものが抜け落ちがちなのかなと感じています。

ただ単に重要事項説明書に記載すべき内容だけを調査するという目的で調査してしまうと今回の様な事が起こります。

役所の人は聞いた事を聞いた通りにしか教えてくれないので、色々な資料・現地を確認した上で問題点を問題と思うかどうか、その問題の確認の仕方をしっているかどうかという事がポイントになってきます。

難しいんですよねコレが・・・。

不動産を売買する方は、不動産のプロは不動産のプロじゃない場合も多々あるって事は頭に入れて置いた方が良いです。

僕自身も調査・不動産売買の度に知る事・勉強する事があるので、本当に奥が深いなと思っております。

Follow me!

プロフィール

大政 容平
大政 容平エン・ワークス(設計士・宅建士)
大工・2級建築士・宅地建物取引士。1980年生まれ。2児の父(男の子と女の子)。趣味は、ギター・料理・日曜大工。大工は元プロですが(;^_^A。子供は何でも作れると思っちゃってます。建築・デザインが好きで、リフォームや新築も承ります。(100棟超の新築住宅設計)ブログもやってますので、見てみて下さいね♪

南大阪エリア(河内長野・富田林・大阪狭山・堺・和泉・羽曳野・南河内)で売却物件も募集中です♪(南大阪の不動産売却査定はこちらから)