前面道路幅員による容積率制限~ネットや書籍の内容を鵜呑みにすると間違うこともあります~

前面道路幅員による容積率制限〜ネットや書籍の内容を鵜呑みにすると間違うこともあります〜容積率制限に関してですがネットや書籍で見ると『ん?言い切っちゃって良いの?』と思う記載をしているものを何度か見た事がありますので、違う事もありますよ!という内容を書かせていただきます。(建築基準法の条文を読めばちゃんと書いてあるんですけどね)

細かい内容や緩和措置・容積率述べ床面積の計算方法等は書きませんが、用途地域別に定められた【指定容積率】【幅員12m未満の場合の容積率制限】とを比較して低い方(厳しい方)の値を採用して容積率算出するという部分の【幅員12m未満の場合の容積率制限】についての内容です。

■【指定容積率】について

指定容積率については調査対象地の市役所の都市計画情報を扱う課等で確認したり、ネット上の都市計画情報の図面(公開されている行政とされていない行政があります)にて確認できます。

市役所で確認する場合には『都市計画情報を教えて下さい』と言うと、他の都市計画情報と共に【指定容積率】を教えてもらえる場合が多いです。

これは多分、不動産調査した事のある方なら普通は調査した事のある内容ですね。

■【幅員12m未満の場合の容積率制限】

今回書きたいのはこの【幅員12m未満の場合の容積率制限】についての内容です。

簡単に言いますと、幅員12m未満の道路の場合に『道路幅員×定数』で容積率が制限されるというものです。

例えば、幅員4mで定数0.4の場合は4×0.4=1.6(160%)となります。

その場合に指定容積率が200%の場合、採用すべき容積率は低い方(厳しい方)の160%となります。

で問題となるのがこの定数なのですが、

住居系の用途地域内にある場合:0.4 (4/10)

住居系の用途地域以外にある場合:0.6 (6/10)

という内容で書かれている事が多いのですが果たしてそれで良いのでしょうか??

実は例外があります。

詳しくは建築基準法第52条2項の部分を確認していただきたいのですが、『特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては・・・』という記載があります。

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物については十分の四で間違いない(記事作成時点)のですが、それ以外の用途地域に関しては上記の例外に該当する場合があります。

身近な例でいくと、大阪市なんかは第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域(ただし、風致地区は除く)においては、前面道路幅員による容積率低減数値は0.6となっています。

【参考】

大阪市前面道路幅員による容積率制限

という事は、住居系でも0.6の時があるって事です。

市役所の調査の時にポイントとなる事が、『聞いた事しか教えてくれない。』って事。

単に容積率を聞くだけでは都市計画で定められた指定容積率しか教えてくれない事も多々あります(笑)

指定容積率200%で前面道路が4mの敷地の場合には、低減数値が0.4であれば、建てられる容積率は4×0.4=160%ですが、0.6であれば指定容積率200%まで建てられますので、かなり違うにも関わらずです・・・。

指定容積率を調べて200%、住居系の定数0.4・前面道路幅員4mだから容積率は160%でOK!!って・・・、その調査は間違っていますからね!!

中古不動産を扱う場合、知らなければ容積率オーバーの判断をしちゃう場合もあったり、逆に知っていれば容積率オーバーと書かれている物件が容積率範囲内だったり(述べ床計算をしっかり理解しているかという事も重要です。)。

実は結構あります・・・。

融資の可否や不動産価格にも関わってくる重要な内容ですよね。

不動産の売却・購入の時にしっかり知識・調査能力のある業者を選ぶ事は重要ですよ!

基本的には、ネットや書籍に書いてある内容は参考程度に疑ってかかるという事も大事ですし、制限の根拠(この場合は建築基準法)となる法律の条文を読んだり、役所で確認する時の聞き方を工夫する事も大事です。

単に容積率を聞くのではなく前面道路幅員などを調査した上で、実際の基準となる容積率や緩和規定等がないか等、全く分からないので教えて下さいという体で担当者に洗いざらい聞く事をお勧め致します。

僕は大体普段着で行って、全く知らない風にして当たり前の事も確認する様に心がけています。

その方が向こうも構えずに色々親切に教えてくれたりしますので(笑)

前面道路幅員による容積率制限にはご注意下さい。

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プロフィール

大政 容平
大政 容平エン・ワークス(設計士・宅建士)
大工・2級建築士・宅地建物取引士。1980年生まれ。2児の父(男の子と女の子)。趣味は、ギター・料理・日曜大工。大工は元プロですが(;^_^A。子供は何でも作れると思っちゃってます。建築・デザインが好きで、リフォームや新築も承ります。(100棟超の新築住宅設計)ブログもやってますので、見てみて下さいね♪

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